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地元産の旬の素材を生かし常に真剣勝負の料理を出したい

イタリア料理ルマーカ
高瀬心平さん

Profile

1984年花巻市生まれ。高校を卒業後上京。東京都内のホテルやレストランでイタリア料理を学び、機会を見つけては本場へも修行に出かけた。2018年11月、オーガニックなイタリア料理ルマーカを開店。ルマーカとは、イタリヤ語で「かたつむり」という意味。

メニューのないイタリア料理店

メニューがないと聞いて驚いた。毎日新鮮な地元の食材を仕入れ、その食材を生かして料理するというスタイルで、特にディナーはお任せコースがあるだけだというイタリア料理ルマーカ。
「その時々でどんな仕入れができるかによって料理を考えます。うまくいった時はイメージの150%のものが作れます。そのライブ感が楽しいし、自分にとっての刺激ややりがいになっています」
と話すのはオーナーシェフの高瀬さん。
仕入れた食材を新鮮なうちに提供するため、基本的に予約のみにしているとのこと。余して翌日また使うことを嫌い、その日必要な分だけ仕入れるためだ。ランチはパスタを選べる形とのことだが、それも徹底して素材にこだわる。
「黙々と厨房にいて作るだけでなく、直に伝わるお客様の反応も見たいですよね」
と高瀬さん。調理するだけでなく、できるだけホールでサービスもするという。

東京やイタリアで修業し故郷へ

花巻で生まれ育った高瀬さん。祖父母がかつて中心市街地で経営していた履物店は古くからの市民にはお馴染みだが、それもご両親の代で閉めたのだという。高校を卒業した高瀬さんは東京へ出た。

もともと食べることが好きだったためにホテルのレストランやバーに就職し、厨房で仕事をする。さまざまな飲食業で働くうちにイタリア料理に目覚めた。いくつかのイタリアンレストランに勤めながら、27歳ごろから機会を見つけて何度かイタリアへ修業に出ている。ビザの関係で1回あたり長くても2~3ヶ月だったそうだが、仕入れに同行させてもらったりして、現地の食堂で厳しく教えられたことが今も生きているのだそうだ。

イタリアで修業し、日本で仕事をしつつ「いつかは自分の店を」と考えていた時、故郷花巻から声がかかった。現在のルマーカの場所でイタリアンレストランを経営していたお父様の友人から「そろそろ引退しようと思うので店を引き継いでくれないか」という話だった。いずれは好きな山登りや釣りなどができる自然の中に帰ろうと考えていた高瀬さんにとって悪い話ではない。その申し出を聞き、これから新しい方向性を検討しようかという時、厨房を担っていたその店の奥様が病気で急逝。思いがけず、2018年急遽店舗を引き継ぐこととなった。

「花巻には高校までしかいなかったので案外まちのことを知らなかった。だから逆に地元で店を持つことに興味はありました。ただ、もう少し先と考えていたんです。でも決まってからは早かったです。引き継いでから開店まで3~4ヶ月でした」

花巻に新しい味で刺激を与えたい

なぜ選んだのが南イタリアの料理だったのかを聞いてみた。
「地元の食材を使い、それを活かす調理法に長けていると感じたのです。そして飾らずシンプル。和食に近いかもしれません」
「南イタリアに行った時、お婆さんが料理しているような普通の食堂がすごく美味しいんですよ。とにかく味付けもシンプルに素材を活かす料理が衝撃でした」
その地にある素材をうまく使え・・・という、イタリアで教わったことを今でも高瀬さんは常に考えている。

岩手は海の幸、野菜、肉など地元産が豊富で食材探しが楽しい。年中様々なものが手に入る都会とは違い、季節によって食材を揃えるのが難しい時期もあるが、それは逆に新鮮な旬のものが手に入るということ。入手できた食材をいかに美味しく料理するか考えるのは楽しい。そして案外料理に対して保守的な地元のお客様に、新しい味を知ってもらい開拓するのも面白い。

「花巻のまちは今若い人たちが刺激的な活動を始めていて面白くなっているので、この店も刺激的な場所でありたいと思っています。そのためにも常に新しい味にチャレンジしていきたいと考えています」